2011年6月30日木曜日

乳がん治療承認取り消し

FDA諮問委、アバスチンの乳がん治療承認取り消しを支持

米食品医薬品局(FDA)の特別諮問委員会は29日、抗がん剤「アバスチン」に関し、乳がん治療に対する承認を取り消すことを6対0で表決した。製造しているスイス製薬大手ロシュ・ホールディングには打撃になる。

諮問委は、アバスチンに関する2件の重要な研究で、同薬が乳がんの治療薬として有効でないことが示されたと指摘し、胃内部の損傷や出血などといった副作用リスクが効果を上回っていると結論付けた。

表決に先立ち開催された2日間の公聴会では議論が白熱した。公聴会では、乳がん患者が証言し、一部はアバスチンが「奇跡の薬」だと主張。その一方で、反対証言した人の中には、薬の副作用で亡くなった患者の話をする人もいた。

諮問委のメンバーであるクリーブランド・クリニック研究所のMikkael Sekeres氏は、もしアバスチンに効果があるなら、ある程度の副作用を甘受する用意はあるが、効果が「最小」にとどまっているため、これほど強い副作用は受け入れられないと諮問委は判断したと述べた。

FDAで乳がん治療へのアバスチン使用に対する最終的な判断を下すのは、同局のマーガレット・ハンバーグ局長だ。他のがん治療へのアバスチン使用承認は依然として有効であり、今回の表決からは影響を受けない。

ロシュ傘下のジェネンテックは、アバスチンが約5カ月間にわたって乳がん患者の腫瘍の成長を有意に遅らせられると指摘し、患者のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を改善できると主張していた。

FDAは2008年2月、アバスチンが腫瘍の成長を平均5カ月半遅らせるとの研究結果を受けて、迅速承認制度に基づき、乳がん治療薬として承認した。しかし、承認は2件の追跡研究の結果次第という条件付きだった。この2件の追跡研究の完了後、FDAは結果がアバスチンの効果を裏付けるものではなかったとの結論に達した。そのためFDAの医薬品部門責任者は昨年12月、承認の取り消し提案を行った。それにジェネンテックが異議を申し立てて公聴会が開催された。

2011年 6月 30日 WSJ