2011年6月10日金曜日

切除不能再発大腸がんに新薬

メルクセローノ、「アービタックス」が全生存期間を有意に延長することを証明

ASCO 2011:アービタックス(R)は切除不能再発大腸がんで非肝限局転移症例でも全生存期間を5.1カ月改善

●CRYSTAL試験の解析データにより、非肝限局転移KRAS野生型症例で、アービタックスが全生存期間を有意に延長したことを証明

●アービタックスがKRAS野生型症例の根治切除率を改善し、それによる治癒の可能性を高めることも明らかに

【米シカゴ、独ダルムシュタット】
Merck KGaA(ドイツ ダルムシュタット市)の医薬品部門であるメルクセローノは、CRYSTAL試験のレトロスペクティブな解析により、アービタックス(R) (セツキシマブ)がKRAS野生型の切除不能再発大腸がん(mCRC)で、非肝限局転移症例における治療成績を有意に改善したことを発表しました。

この解析では、KRAS野生型症例におけるアービタックスと標準化学療法(FOLFIRI)による一次治療の有効性を転移部位ごとに検証しました。この結果によれば、非肝限局転移症例(non-LLD)において、アービタックスをFOLFIRIに併用した化学療法を行った群では、化学療法単独群と比較して有意な改善が得られ、全生存期間が5カ月以上延長しました(22.5カ月対17.4カ月、p=0.013)。mCRC症例の約70%はこのように進行した非肝限局転移症例であり(※1),(※2)、今回の結果は、KRAS野生型mCRC症例において、アービタックス併用化学療法は主要な治療目標の達成をサポートすることを示しています。

また今回の解析においては、アービタックス併用化学療法の肝限局転移症例における根治切除(R0切除)の可能性も検証されました。その結果、R0切除率は、アービタックスとFOLFIRIの併用化学療法を行った肝限局転移群で最も高くなりました。統計的な有意差はなかったものの、化学療法単独群と比較してR0切除率はオッズ比で2.58倍改善されました(13.2%対5.6%、オッズ比2.58、p=0.125)。(※1)これらの結果は、CRYSTAL試験やその他のアービタックスの主要な試験から、(※ 3)KRAS野生型症例においてアービタックス併用化学療法が奏効率を増加させ、それに伴ってR0切除率も増加した、既に発表されている結果を支持しています。

ASCOで発表された報告の主著者であるドイツ、オルデンブルク病院(Klinikum Oldenburg)のクラウス・ヘニング・ケーネ教授(Professor Claus Henning Kohne(*))は次のように述べています。「進行がんの多くの患者さんに治療がもたらす最も重要なベネフィットとは、より長く生きること、さらには治癒することです。そのため、今回のCRYSTAL試験による新たな知見は、アービタックス併用化学療法は肝限局転移症例と、肝限局以外の転移症例のどちらにとっても重要で、両方の患者群に有効であることを明確に示唆しました」

2011年6月10日 プレスリリース