2011年9月8日木曜日

脳腫瘍の再発を防ぐ遺伝子発見

山形大学医学部の北中千史教授と国立がん研究センターの嘉山孝正理事長らは、悪性脳腫瘍の再発を防ぐ遺伝子を発見した。がん細胞を生み出し続ける「がん幹細胞」の働きを抑える。治療薬の開発につながる可能性があるという。成果は米医学専門誌「ステムセルズ」(電子版)に発表された。

 研究チームは悪性脳腫瘍の一つ、グリオブラストーマの患者を調べた。がん細胞とがん幹細胞の遺伝子を分析し、がん細胞で働き、がん幹細胞では眠っている「Fox03a」という遺伝子を見つけた。ネズミを使った実験で、この遺伝子をがん幹細胞で働かせると、がん細胞がほとんどできなくなった。

 がん細胞にはもととなる細胞があり、がん幹細胞と呼ばれている。がん幹細胞は数は少ないが、手術などで取り残すとがんが再発する原因と考えられている。がん幹細胞の機能を絶てば、再発も防げる。

 研究チームは「Fox03a」遺伝子がよく働くようにする薬剤をすでに見つけており、治療薬として開発していく。

2011年9月8日 日本経済新聞