2011年9月26日月曜日

1分間の乳がん光検査で1ミリまで検出

乳がんを光で検査 キヤノンや京大、1ミリまで検出 体の負担小さく

 キヤノンや京都大学の椎名毅教授、戸井雅和教授、鍛利幸・特定准教授らは光で乳がんを検査する新技術を開発し、約1ミリの小さながんをとらえるのに成功した。エックス線や核種を使わず被曝(ひばく)の心配がない。マンモグラフィーよりも乳房を押さえる力が弱く検査を受ける人の負担が小さい。2015年ごろの実用化を目指す。

 新技術は波長数百ナノ(ナノは10億分の1)メートルの光を乳房に照射。血液などの生体組織が光を吸収して発生する熱で一瞬膨張すると、超音波が出る。これを外部に設置したセンサーで検出して調べる仕組み。乳房を押さえつける力はエックス線を使うマンモグラフィーの約5分の1で済む。

 約40人の乳がん患者を検査し、磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像と照らし合わせて約1ミリの小さながんまで検出できた。計測時間は約1分。来春にはさらに縮めた改良型で臨床試験を始める考えだ。

 光は波長により吸収される分子が変わる。がん組織周辺は低酸素状態といった特徴があり、がんを見極められる。今後、新技術と既存の超音波検査を併用できる装置にして実用化を目指す。京大の「先端医療機器開発・臨床研究センター」で取り組む。キヤノンが建設に約5億円を寄付した。

2011年9月25日 日本経済新聞