2011年9月6日火曜日

膵臓がん、肝臓がんの世界最高レベル病院

2011年9月5日 zakzak
肝・胆・膵がんの外科治療で世界トップレベル

★「千葉大学医学部附属病院」肝胆膵外科

医学が進歩したとはいえ、いまだに手術が困難ながんはある。その代表グループに入るのが、肝臓がん胆道がん(胆管、胆嚢、乳頭部がん)、膵臓がん。臓器の中や周りに太い血管などがあり、高度な治療技術が求められる。しかも、画像診断では撮影しにくい臓器のため、特に胆道がんや膵臓がんは、進行した状態で見つかることが多い。

大きくなったがんを手術でいかに取るか。その手技には、安全でかつ 有効にするための創意工夫が常に求められる。そんな肝・胆・膵のがんに対して、さまざまな独自の術式を考案し実績を上げているのが、千葉大学医学部附属病 院肝胆膵外科だ。なかでも胆道がんの手術では世界トップレベルの実力を誇る。

「肝胆膵の分野は、進行がんで見つかることが多く、外科的な術式に 加えて術前術後の手技にも高度な技術が不可欠です。そのため、世界的にもまだ外科的な治療が行われていない患者さんが多い。しかし、確実に腫瘍を摘出して 臓器の機能を損なわなければ、外科的な治療の役割は大きい。それに貢献するために、私たちは、常に技術レベルの向上を考えています」

こう話す同科の宮崎勝教授(60)は、病院長を兼務しながらも、年間約200件の手術に携わるエキスパートだ。

宮崎教授が外科医を目指した若い頃には、肝臓がんや胆道がん、膵臓がんは、 治療が非常に難しく、手術を受けられない患者は今よりも多かったという。手術をしなければ予後は悪い。しかし、手術を受けてもその治療によって患者は命を 落とすこともあった。その状況を変えるために、宮崎教授は外科的治療の向上にあらゆる努力を惜しまなかった。その結果、現在、世界トップレベルの技術に結 びついている。

「早期発見のための診断方法が確立されれば、患者さんにとっては大きなメリットがあります。しかし、今はまだありません。現状で外科的な治療によってどこまで貢献できるのか。それに取り組んでいると、自然に新しい手技が生まれてきます」(宮崎教授)

難易度の高い手術は、患者の命に関わるリスクも高い。本来であれば、教科書に載っている標準的な治療でお茶を濁した方が、医師にとっては楽な話だ。しか し、宮崎教授は、そのリスクを抱えながらも、患者を助けるために努力を惜しまない。平日のみならず、毎週末にも病棟を訪れて、患者の状態を把握するのも習 慣としている。

そんな姿勢は、若い医師へも浸透していた。

「患者さんに、医師の取り組む姿勢を評価されることが、若い人たちのやる気につながっています。一般の方々にも、若い医師へのエールをもっと送っていた だきたい。私たちは日々進歩し、1年後には、さらに技術レベルの向上を実感できるでしょう。そのために、これからも取り組んでいきたいと思っています」と 宮崎教授。

一歩でも前へ。技術レベル向上の取り組みに終わりはない。(安達純子)

<データ>肝胆膵外科2010年実績
☆新規患者総数約320人
☆肝がん手術数79件
☆胆道がん手術数71件
☆膵がん手術数56件
☆肝胆膵外科病床数約50床
〔住所〕〒260-8677千葉市中央区亥鼻1の8の1 
(電)043・222・7171