2011年10月5日水曜日

粒子線を使ったがん先端治療施設の新規開業

粒子線治療施設の開業支援 兵庫県が三セク設立 

 兵庫県は4日、国内外で粒子線を使ったがん先端治療施設の新規開業を支援するため、装置メーカーと共同で治療技術や情報を提供する第3セクター「株式会社ひょうご粒子線メディカルサポート(仮称)」を11月に設立する、と発表した。世界最高水準とされる県立粒子線医療センター(たつの市)で蓄積した技術を生かし、同治療の普及促進を図る。

 県によると、国内で粒子線治療ができるのは同センターのほか、開設予定の施設も含めて計15カ所。治療装置の低価格化で導入拡大が見込まれるが、専門の医師や放射線技師らの不足で、治療開始まで数年を要しているという。

 このため県は、粒子線治療装置の大手メーカー三菱電機(東京都)など5社と新会社を設立。三菱電機が装置を販売する新規施設に、新会社から専門スタッフ を派遣し、治療技術や機器の調整などのコンサルタント業務を請け負う。また、同センターで技師らの研修も行い、スムーズな開業を支援する。

 新会社は同センター内に置き、資本金は計900万円(県720万円、三菱電機135万円など)。10月下旬に取締役会を開き、社長を選ぶ。

 同センターは2001年4月に開業し、03年から先進医療をスタートさせた。陽子線、炭素線両方を利用できる医療機関としては世界初の施設で、03~09年度の患者数は全国の約4割に当たる約3千人。

 三菱電機は、電力システム製作所(神戸市兵庫区)が治療装置を生産。同センターを含む国内8カ所で受注実績がある。

【粒子線治療】 放射線治療の一種。エックス線など従来の治療とは違い、陽子線や炭素線というミクロの粒子ビームを照射、がん細胞を破壊する。手術が困難 な頭頸部や体内深部の病巣をピンポイントで狙うことができ、痛みや副作用が少ない。当初は整備に約100億円を要した陽子線の装置は現在、30億円程度。 ただ、照射費用は健康保険適用外で、患者負担は約300万円という。

2011年10月5日  神戸新聞