2011年12月15日木曜日

がんに集まるホウ素入り薬剤

がん治療装置 小型に

 放射線の一種である中性子を使い、がん細胞をねらい撃って破壊する 治療法を普及させるための研究に、筑波大を中心としたチームが取り組んでいる。東海村の先端科学研究施設J―PARCの技術を応用。こうした治療は現在、 原子炉のある施設でしかできないが、チームが4年後の実用化をめざす小型装置が完成すれば、病院での治療も可能になる。

 治療法は「BNCT(中性子捕捉療法)」と呼ばれる。がん細胞に集まる性質をもつホウ素入り薬剤を体内に入れた後、患部に弱い中性子ビームを照射。中性子とホウ素が核反応を起こして出るアルファ線が、がん細胞だけを壊す仕組みだ=図。周りの正常な細胞に影響をほとんど与えず、副作用も極めて少ない。30分間、1回の照射で完了する。

 BNCTの臨床研究にかかわる筑波大脳神経外科の松村明教授は「臓器の中に複数のがんができる多発がんや、再発したがんなど、これまでの放射線治療が苦手としてきたがんの治療に高い効果が期待できる」と話す。

2011年12月15日 朝日新聞