2012年2月15日水曜日

がんワクチンの注意点

子宮頸がんワクチン「接種後30分は立ち上がらないで」
失神66件報告でメーカーが発表
子宮頸がんの予防効果が期待されている4価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン「ガーダシル」を販売するMSDは2月14日、日本でこれまで同ワクチンを接種した約33万7,000人(推定)のうち、接種後の失神例が66件報告されていることなどから、接種後30分はなるべく立ち上がらないことなどを呼び掛けた。失神例が発生している背景には、HPVワクチンは若年女性が主な対象であること、「筋肉注射が痛い」との印象が先立ち、痛みへの恐怖感が増大することなどがあると考えられている。
8割は接種後5分以内に発生
 10歳代の予防接種機会が増えるに従い、国内でも失神例の報告が目立つようになっている。2010年、日本小児科学会は「予防接種後に失神に対する注意点について」の声明を発表した。
 MSDの発表によると、昨年末時点で約33万7,000人の接種例のうち、66例がガーダシル接種後に失神していたことが報告されていたという。同社は同ワクチン接種後の注意点を以下の通り呼び掛けている。

失神に備えて、接種後の移動の際には医療従事者あるいは保護者等が付き添うようにしてください
接種後30分程度は体重を預けられるような場所で、なるべく立ち上がることを避けて待機していただくようご指導をお願いいたします
 同ワクチン接種後に失神が認められた10歳代女性は、1回目の接種では特に問題がなかったが、2回目の接種で妹、母親と来院。その際に「学校で2回目の接種がとても痛い」とのうわさがあったことや、「妹が来院時に痛そうだ、と騒いでいた」のだとか。女性は接種直後、妹に席を譲って立ち上がったところで突然失神、顔面を強打し前歯を折るなどのけがをしたという。
 実際、インターネット上で検索してみると、痛みには個人差がある、過度に恐れる必要はないとの情報が見られる一方、医療関係者が同ワクチン接種時の痛みについて「かなり痛い」と表現している相談掲示板や、一般の人の間では「筋肉注射なので、筋肉のある利き腕に接種した方がより痛い」「失神するくらい痛い」といったコメントも見られる。また、報道にも「(HPVワクチンの)『重い副作用として』強い痛みが報告されている」の文言もあるなど、「HPVワクチンは痛い」と思わせるような情報がかなり多いようだ。
 同ワクチン接種後の失神の80%が接種直後あるいは接種後5分以内に起きているほか、失神例の過半数を10歳代が占めている。失神への対策としては「下肢(脚)を軽く挙上し安静臥床(がしょう=横になる)させる。必要に応じて輸液や酸素投与を行う」という。
 なお、ガーダシルに先行して発売された2価HPVワクチン「サーバリックス」についても、厚生労働省の資料および発売元のグラクソ・スミスクライン公式サイトで詳しい情報を見ることができる。
2012年2月15日 健康百科