2012年2月17日金曜日

切らない胃がん新治療法

胃がんの内視鏡治療―新治療法で適用範囲広がる

 早期胃がんに対しては、体への負担が少ない内視鏡による治療

高周波メスではぎ取る

胃がんの内視鏡治療は、先端にカメラや高周波メスなどが付いた器具を口から挿入し、胃の内部でがんを切除する。以前から行われているのが、内視鏡的粘膜切除術(EMR)。がんのある粘膜をつまんで、スネアと呼ばれる金属の輪を掛けて締め、高周波電流を流して焼き切る。これだと、大きながんは何回かに分けて切除しなければならず、取り残すこともある。

 また、がんの大きさが直径2センチ以下で深さも内側の粘膜までにとどまり、分化型腺がんという“おとなしい”タイプで、がんの部分に潰瘍(かいよう)がないこと、という条件があった。

 新たに開発された内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)では、がんのある粘膜の下に生理食塩水を注入し、がんを隆起させてからメスで粘膜の下の組織ごとはぎ取っていく。がんを取り残すことがなく、2007年4月からは健康保険も適用されるようになった。

 また、粘膜までの分化型腺がんの場合は、潰瘍がなければどのような大きさでも、潰瘍があっても直径3センチ以下であれば可能になってきている。

1週間以内で退院も

 内視鏡治療には、多くの長所がある。第一に、胃の大部分を残すことができるので、腹腔(ふくくう)鏡による手術や開腹手術に比べて、手術後の日常生活への復帰が早く、より快適に過ごせる。また、軽い麻酔で済むので、手術の安全性が高い。手術時間は30分から1時間と比較的短くて済み、1週間以内に退院が可能だ。

 内視鏡手術でも、治療中に出血があったり、胃に穴を開けてしまったりすることもあるが、挿入している器具を使って止血したり、クリップで閉じたりするなどその場での対処ができる。

 胃がんと診断されたら、内視鏡で治療できるかどうか、医師に確認するとよい。