2012年3月27日火曜日

肺がん手術が日帰りの最新治療機器

がんを日帰りで治療する超高精度スナイパーマシン

新世代の放射線がん治療機器「サイバーナイフ」を用いたがん治療が拡がっている。
「サイバーナイフ」は大掛かりな がん治療システムだ。

「サイバーナイフ」の放射線発射装置である「リニアック」は、先端から放射線をがん細胞に向けて発射する最小5mmの放射線ビームを放つ。これは世界最小クラスの細さのビーム口径である。
横たわるがん患者の周囲を「リニアック」が 1200通りの角度と方向からがん細胞に向かって細い放射線ビームを照射する。様々な方位から細くがん細胞だけを狙い打つことで、正常細胞のダメージを最小化しつつ、がん細胞だけが繰り返し放射線を照射される治療法なのだ。

もう一つのサイバーナイフの特色が呼吸で動くがんの自動追尾機能だ。呼吸によって、肺だけなくがん患部も微妙に動くが、このがん患部の動きに合わせて放射線も動きながら照射するのだ。
追尾する情報は、天井に取り付けられた3台のカメラからの情報から分析される。 X線カメラが2台と、赤外線カメラが1台。

患者は、体の動きが少なくなるように固定用マット敷いたベッドに横たわり、 LEDライトをお腹に装着する。

体内のがんを直接に見ているのではなく、がん細胞の至近に「金マーカー」と呼ばれる目印が入れられている。太さ1.1mm、長さ5mmの微小な「金マーカー」が呼吸に合わせてがんと同じ動きをするのを、 X線カメラが追尾する。

金マーカーのトレースはX線カメラで行われるが、 X線を患部周囲へ投影し続けるのは放射線被爆となるので望ましくない。そこで体に害の無い赤外線カメラでLEDライトと金マーカーの距離と呼吸による動きの相関を調べることで、呼吸によって動きがん患部の位置を補足し、トレースし続ける。サイバーナイフによるがん治療は1回30分間程度で、入院の必要も無い。 2週間で計4回程度の治療となる。

1.5cmの肺がんが、1ヵ月後にはがんが消えたもある

サイバーナイフで治療が可能ながんは、今のところ肺がん、脊椎がん、脳腫瘍などである。
残念ながら放射線に弱い粘膜を持つ消化器系のがんには使えないために、胃がん、大腸がん には使えないのだ。

しかし、海外では乳がん治療にサイバーナイフを利用して効果が上がっているとの報告もある。今後は、乳がん に続き、肝臓がんやすい臓がんの治療への応用に強い期待が寄せられている。

がんは切らずに、日帰り治療で治す時代はもうそこまで来ている。